落葉樹木類の移植、植え付け…春原 康太郎
11月に入り、初霜が降りると落葉樹木は紅葉し落葉を開始します。落葉樹木はこの落葉時期に掘り上げ移植するのが適期です。
最近ではポット仕立ての苗が出回るようになり、年間を通していつでも植え付け可能になりましたが、秋が落葉樹木の植え付け適期であることに変わりません。
樹木の移植や植え付けを行うということは、養水分を吸い上げる根部を切断することになるので、樹木に相当の負担をかけることになります。移植の時期や方法を間違えると場合によっては、樹木は枯死ということになりかねません。
植物は茎葉から水分を蒸散し体温調節を図っているので、根を切除すれば当然水揚げの能力が低下してしまうからです。水分の蒸散面積の狭い時期、すなわち落葉時期に移植すれば水分蒸散量が少なくて済みます。そのため落葉時期が移植の適期になります。
しかし移植された新たな環境下で水分を十分に吸収するためには新しい根の発生を促さなければなりません。そのためには、ある程度の地温が必要です。11月上旬~12月中旬がその適期に当ります。
水分蒸散量が少なくて、そこそこの地温も確保できる二拍子揃った絶妙の時期、それが「今」です。この時期に、主として落葉樹木(果樹類と花木類)や針葉樹は移植、植え付けをします。
移植に当っては、根の切り口はよく切れる鋏で切り戻してください。根の切り口がグシャグシャと押し潰した状態だと腐りが入る原因となり、新根の発生は期待できません。根の細部にわたるまで命であり、細胞の塊りです、細胞一つ一つを大事に取り扱うこと、そのための根の切り戻しになります。
植え付けた後は風で枝が揺らされて新根が切れることを防ぐために、必ず風除けのために支柱を添えてください。
ちなみに常緑樹木はこの時期、移植には適しません。新芽が完全に固まってから、すなわち梅雨時期辺りが最適期となります。