冬の樹木・植栽・芝生のお手入れ…阿部 正光

本格的な冬の季節がやってきました。
樹木や植栽には、冬のこの時期にしかできない作業があります。また逆に、冬にはやってはいけない作業もあります。本格的な作業は専門家に任せるとして、ちょっとしたコツを知っていれば自分でできる作業は、お庭への愛着を深めるためにも、ぜひチャレンジしてほしいものです。
そこで今回は、知っていると役に立つ、樹木や植栽のお手入れのコツをご紹介します。

12月頃になると樹木は休眠期に入ります。特に落葉樹は完全に活動をやめ、いわば冬眠状態になります。これから春までの間は、夏にはやれない作業の適期です。

休眠期の樹木の根元に、有機質の肥料を与えます。有機質はゆっくりと効き始めるので、春の活動と同時に効果を発揮します。また、土質を改善する効果もあるので、ぜひともやってほしい作業です。

落葉樹の剪定には最適な時期です。樹木の活動が緩やかなため、強めの剪定をする事ができます。隣家にはみ出た枝を切ったり、樹高を抑えるための剪定は、この時期が良いでしょう。また、葉のないこの時期には樹形がよくわかり、作業がしやすいメリットもあります。

休眠期には、濃い目の薬剤で確実な予防ができます。病原菌は冬の間、樹木の皮の裏や根元の土の中で越冬します。それらを退治することで、春以降の病気のリスクが軽減されます。

急激に冷え込む明け方の霜から根を守る必要があります。霜(霜柱)が降りると樹木の根に大きなダメージを与えます。最悪の場合、枯れてしまう事もあり得るため、マルチングをして根を守りましょう。寒冷地では、「低温」「寒風」「積雪」から守るための冬囲いをする必要があります。

花壇や鉢植えなどの植栽にも、冬ならではの管理方法があります。

夏に比べて冬は水やりの回数を減らします。土の表面が完全に乾燥してから、あふれるくらいたっぷりと与えることが大切です。冬の水のやりすぎは根腐れの元です。

冬の間も元気に花を咲かせてくれるパンジーやビオラ、シクラメンなどは、花が咲き終わったらすぐに花がらを摘み取ります。そのままにしておくと病気の原因になったり、タネができると栄養を取られて弱ってしまうかもしれ
ません。

休眠している宿根草やバラなどは、この時期が植替え適期です。根の活動も緩やかなので、多少切ったり崩したりしても枯れる心配がありません。植替え時には、元肥を混ぜ込みますが、春になるまで追肥は与えません。

花壇の土は時間と共に締まって固くなるので、根元に有機質を漉き込みます。有機質(腐葉土や堆肥)はゆっくりと分解され、土質を改善してくれます。

樹木と同じように、霜(霜柱)から根を守るためマルチングをします。

冬の間はほとんど成長しない芝生ですが、最低限のお手入れは必要です。

長いままの葉で冬を越さないよう、最後の芝刈りをします。葉が短い状態で冬を越し春を迎えることで、新芽の成長を促します。

芝の葉が茶色になっている時には、常緑の雑草の葉がよく目立ちます。雑草を見つけたらこまめに抜き取ることで、春からの管理が少しだけ楽になります。

冬期間は、なるべく芝生に立ち入らずに養生に専念しましょう。夏の間、いろんなダメージを受けた芝生に回復する時間を与えてあげると思ってください。