多年草の株分け、植え替え…春原 康太郎

高温多湿に恵まれた日本の植物は、豊かな植物層に恵まれています。特に多年草(宿根草)は多種に渡ります。これらの多年草は私達にとってはごく平凡な植物でも、植物層に恵まれていない欧米の人々にとっては、うらやましい植物環境です。ギボウシ、ユキノシタ、リュウノヒゲ、タマリュウ、ヤブラン、ノシラン、オカメヅタ、クマザサなど多品種わたります。

これら日本原産の多年草は、今や全世界でもてはやされ、主としてグランドカバー用として生産されるようになりました。また、欧米各国では品種改良が盛んにおこなわれ、そうした品種改良されたものが逆輸入されることも多くみられるようになりました。

  • 地植えにした場合は、植え付け後、5~8年経つと勢いが衰えてきます。掘り上げて、別の場所に植え替えて力を回復させます。植える場所を変えたくなければ、元の植え場所を大きく掘って、古い土やゴミを取り除き、そこに新しい土を入れてから植えます。
  • 鉢植えの植え替えは、種類によりますが、だいたい1~3年に一回が適当です。古い土を落とし、新しい土で植え付けましょう。
  • 多年草・宿根草は、植え付け後は数年間そのままにします。そのため株の周囲の土が固まってしまいがちです。年二回ほど、小さな熊手などで、株の周囲を軽く耕し土をほぐしてやると土の通気性・排水性が回復し、植物がよく育ちます。(「中耕」と言います)
  • 多年草・宿根草の中には、タネを周囲にばらまいて雑草化したり、地下茎で勝手に広がったり(地植えの場合のみ)する、繁殖力の強いものがあります。そのような植物は、放置していると、他の植物を駆逐することも少なくないので、しっかり監視しましょう。
  • 花が終わった後、葉だけが茂って邪魔になっても、自然に枯れるまで、刈り取らないでください。もし、元気な葉を刈り取ったりすると、株が非常に弱り、翌年開花しなくなる恐れがあります。
  • 多年草・宿根草の施肥は、原則として春・初夏・秋の三回与えます。地植えの植物なら、春と秋の二回、あるいは春の一回だけでも支障はありません。
  • 生育環境がよいにも関わらず葉色が薄くなったり、花付きが極端に悪い場合は、肥料不足の可能性があるので液肥を与えて様子を見てください。
  • 多年草・宿根草は、温帯地域に自生する植物が多く、冬の寒さに十分さらされないと、春になっても正常に育ちません。そのため過保護は避け耐寒性が弱い種類は、鉢植えにして、室内の無加温の場所に置くとよいでしょう。
  • 休眠期になると地上部が枯れてなくなる、落葉性の植物は、鉢植えの場合は休眠中でも水やりを忘れてはいけません。球根植物とは違い、体内に水分や養分を蓄えているわけではないので、水やりを怠ると、干からびて枯れてしまいます。地植えの場合は、そんな心配はありません。

多くの多年草・宿根草は、一度植え付けると、最低でも2~3年は、そのまま据え置き栽培できて年数を経るごとに株が大きくなり、見栄えがしてきます。
寒冷地では露地での越冬ができない半耐寒性の種類もありますが、庭や花壇に植えれば、水やりもほとんど不要となり手間がかからないので、場所があれば、地植えをおすすめします。